DVD鑑賞。これまで僕は、人にはそれぞれ愛の形があって、自分自身、お互いがそれを感じながら過ごせればよいと思っていた。しかし、この物語に出てくる一つの家族は、無くなった愛すべき人が再び現れて、その愛の形を確認しながら形成することで、完全な愛をみつけることができた。正直言ってよくもまぁ、このような物語を思いつくものだと思ったが、原作はまだ読んでいないので、映画だけの印象を語ることにしよう。
まず、感じたのが、この夫婦は、僕ら夫婦によく似ていると思った。出会いとか、姿形とかではなく、「そばにいるだけでいごごちがよい」とお互いに感じられる夫婦という点で、似ていると感じた。まぁ、妻がそう思っているかどうかはわからないが、僕にはそう感じていると理解しているつもりだ。高校生の彼が彼女の卒業ノートに「横にいるだけでいごごちがよかった」と書いたときには、「そうそう」と頷いてしまった。
一概にはいえないだろうが、女性は、時に包み込むような大きな愛情を示す時がある。映画の中では、自分にはふさわしくないと主人公の彼女を拒否した彼に、ひまわり畑で結婚の決意を示すシーンでは、心が温かくなった。僕がとても落ち込んでいたときに、妻が「だいじょうぶだよ、ゆっくりいこうよ」と言ってくれたことを思い出して、ジーンとなってしまった。
あまりにも周囲に(原作を)読め読め、とせっつかれたので、敢えて原作は読まないでいたが、映画の世界観と比較したく読みたくなった。
さて、役者の竹内結子と中村獅童だが、キャスティングはパーフェクトだ。誠実さ、清潔感、清涼感、そして人間的な深みというか育ってきた歴史のようなものを感じることができて、映画の中の物語が大きく広がっていた。森の中の廃工場という非現実的なシーンと雨の相乗効果かもしれないが。
ゆっくりとお互いを確かめ合いながら愛を育む家族というのも、良いかもしれないな。
もう一度観たくなった。