人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ふと思いついたこと
by namuko06
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
孤将
 金薫の著作を蓮池 薫さんが訳したという話題の「孤将」を読了した。主人公は、豊臣時代の朝鮮出兵の際に、祖国を守った朝鮮水軍提督の李舜臣である。祖国の王からもあまりの戦争能力から警戒され、膨大な兵力を持つ日本との戦い、将校の裏切り、そして援軍としてやってきた中国・明の軍隊との味方か敵かわからない関係。さらには日本軍の先兵として利用される朝鮮兵との戦い。陸軍の戦線は、朝鮮半島の先端海域で展開する水軍とは別の内陸奥深くで行われており、朝鮮軍全体として意思統一された戦線を維持できていない。そんな中で、李提督の孤独さがヒシヒシと伝わってくる。当時の戦争とはこういったものだったのだろか。将軍は戦略・戦術に悩むだけでなく、戦争の意義にまでも思い、悩む。悩むことで身近に迫る自身の死と向き合うことが出来るようになっていく。これこそ武人たる所以かもしれない。
 蓮池さんの訳は、初めてとは思えないほど、よみやすくまた、李提督の心がよく伝わってくる日本語だった。朝鮮人の李が求めた武士像に共感しやすかったのも、読みやすかった理由かも知れない。一部では朝鮮半島の人々は激昂しやすく、非難がましいといったことを言う人も多いが、李提督のような人も多くいることは事実だろう。日本人も同様だ。偉人とは偉業を成し遂げただけでなく、その生き様が、残された人々に共感や影響を与えることができる人間だろう。韓国には李舜臣の銅像が多く建っているともきく。彼の偉業の表面だけを捉えて安易な反日感情に利用されることは、彼自身の生き様にたいして失礼なことかも知れない。
by namuko06 | 2005-07-17 13:44 | 読書
<< コスギゴケ Get! COOLPIX 5600 ゲット! >>