Excite News:<風刺画>大規模な抗議デモ 東南アジア〜アラブ地域で
ムハンマドの風刺画事件は一件、表現の自由 対 宗教の自由 といった様相を見せているように思える。根本にあるモノは、「風刺」された内容を見る限りにおいて、西洋社会からみたイスラム人集団への一方的な攻撃的メッセージに他ならないだろう。したがって、表現の自由を許したデンマーク国家へイスラム教信仰者からの過激な反撃が続いているのだ。
しかし、よく考えてみると、現在起きている現象は政治家のミスリードであることは明白だ。まず、デンマークや西欧各国での「表現の自由」とはそれぞれの国家内で制定された法律の下許可された「自由に表現する権利」に他ならない。それを行使したからと行って、その国家内で処罰されることはないだろう。一方、ムハンマドや神の絵を描いてはならいとい内容はコーランに記述されており、コーランは、イスラム教国では国家運営のための法律にほかならず、したがって、ムハンマドの絵を描くことは違法行為となる。このように考えると、「表現の自由」の権利を認めた法律を制定した国家と、ムハンマドの絵を描くことを違法とした法律を有する国家間の齟齬が生じたのが今回の事件なのだ。
すなわち、デンマーク政府が、政府責任は無いとコメントしたことは、国民の権利を守る国家としての責任逃れに他ならない。一方イスラム教国家が政府として暴動を鎮圧して、きちんと国際社会に見える形で、欧州諸国に抗議しなければならない。一部のイスラム教指導者は暴力沙汰なしに、事態を収拾しようという心意気は見られる。
私の知る限り、国家として「表現の自由」の権利を行使する際に倫理性や社会性を制限行為としてみとめたのは、フランス大統領だけであった。
ただし、今回の問題は西欧諸国だけが責められるものではない。特に西欧諸国に生活するイスラム教信仰者は、西欧諸国における「表現の自由」によって、イスラム教もキリスト教も、なんであれ、風刺される可能性はあるということを知っておかねばらならず、悪口を言われたからといって暴力行為へエスカレートするのは、邪道である。ペンに対抗するならばペンによって風刺仕返すぐらいの胆力がなければ、イスラム教社会はますます、西欧自由主義社会から見放されていくだろう。
事態の急速な収拾を祈るばかりだ。