Excite 「信ぴょう性高い」と強調 振り込み疑惑で前原代表
民主党がふっかけた振り込み疑惑は、奇っ怪な状況に突入している。何しろネタモトの堀江氏が送信したと見られるメールを巡って真贋がはっきりしないからだ。
そもそも、永田議員のこのメールを質問にぶつけてきたときの言い方に、私は疑問を持っている。どのようなスピーチだったかというと、以下のようなスキームだった。
(1)このメールは、ライブドア社内で流通しているメールである。
(2)振り込む先に指定されたAさん(名字無し)は、武部幹事長の息子である。
(3)メールの内容は、ライブドアからAさんへ3000万円振り込む依頼である。
(4)メールの差出人は堀江氏である。
(5)このメールにしたがって、ライブドアからAさんへお金が振り込まれた。
この文脈で見る限り、それぞれ何を証明すれば、このスキームが成立するか明らかである。
(1)については、メールのヘッダ部分にあるReceivedタグに記述されているメールの受信経路がすべてライブドア内部のドメインのメールサーバであれば、(1)は証明できる。当然Recievedに書かれている最初のメールサーバは、送信最初のメールサーバであるから、そのサーバの時刻が正しければ、送信時間も特定できる。
(2)については、Aさんが武部幹事長の息子かどうかは、メール内に「武部」という記述がないため、証明できない。
(3)メール内にそのような記述があるので、これは正しい。
(4)は堀江氏が持つメールアドレスかどうかを、Reply-To, Return-Pathの記述から判断できる。さらに調べるならば、Message-Idをつかって、送信サーバの履歴を拾って、送信元を特定する。
さらに、送信時刻が特定できれば、当日日本テレビが堀江氏に張り付いていたわけだから、そのとき何をしていたかわかるはずである。現在マスコミはメールの受信時刻で堀江氏の動向を調べているが、これは大きな誤りだ。
(5)については、自民党の調査では、そのような事実はないと発表し、民主党は国政調査権にて徹底的に調べようとしている。これについては現時点ではっきりしない。
このようにみていくと、自民党はAさんが武部幹事長の息子かどうか明確でないという点で反論すれば良かったのではないか。メールの内容と親子関係だけはリンクがとれない情報だからだ。さらに永田議員は、メールを印刷した状態で取り扱わず、電子媒体として受け取っているのならば、上記したような隠れたメールヘッダの部分を証拠として提示すべきだ。これだけでも十分な証拠能力となる。これを出したからといって、ニュースソースが脅威にさらされるわけではないだろう。(受信者が特定されないようにすればよいだけだ)
まとめると、永田議員は、以下のことを証明しなければならない。
(A)Recievedの記述から、当該メールがライブドア内部のメールである
(B)Recievedの記述やメールサーバ履歴から、メール送信時刻を特定し、堀江氏がその時刻にメールを送信していた
(C)Reply-To, Return-Pathなどから堀江氏が使っているメールアドレスと一致していること
(D)メールのAさんと武部幹事長の息子が同一人物であること
これ以上に証明しなければならないことが多いのに、「信憑性は高い」と言い切ってしまう民主党前原代表もおかしい。まずは永田議員が言ったことを証明してみせることから、はじめなければ、疑心ばかり募ってしまう。
予算委員会という公での質問なのだから、もっと論理的に責めて欲しかった。それにしてもメールや、メールシステムのことを知らなさすぎる。コンピュータ・システムが得意なブレインが居ないのではないかと、民主・自民ともにがっかりしてしまった。