今日の市役所での出来事である。私は、たまたまパンフレットをもらいに、立ち寄ったところだった。育児関係の市民講座に参加しようと、若い夫婦二人連れが担当窓口にあらわれた。
「あの、すみません、○○講座に参加したいのですが。」
と、奥さんが窓口で言う。さっそく、担当者が対応を始めた。
「えっーと、その講座は、申込者が多数ですので、抽選になります。来週初めに抽選を行いますので、ご氏名と、連絡先の電話番号を教えていただけますか。住所も記入していただければ、次回以降のの講座のご案内を送付させていただきます。」
と、手慣れた対応。
そのとたん、夫の方が突然切れたように、
「個人情報保護だ! 教える必要はない!」
と叫ぶ。担当者は驚いたまま、無言。奥さんの方は、
「でも、参加したいから...」
と夫に言うのだが、まったく聞く耳を持たないようだ。
「だめだ、個人情報保護だ!」
かわいそうに、夫の個人情報保護機能が強硬なために、奥さんは市民講座にも参加できない。このあと、夫婦連れは、窓口を礼も言わずに去ったが、担当者にしてみれば、ここで、市役所の個人情報保護制度などを丁寧に説明するチャンスだったのだが、切れた若い夫の態度にひるんでしまったのだろう。担当者も災難だった。
なんでも、かんでも個人情報保護という名のもと、不自由な社会になったなぁ、と感じることも多いが、個人の基本情報と秘密にされなければならない情報の区別すらつかない人もいることに、あらためて気づかされた出来事だった。
若い夫が切れて「個人情報保護!」と叫ぶ姿に、公的機関に対する信頼も薄らいでいるのかな、とも感じたのだった。