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ふと思いついたこと
by namuko06
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独裁者に委ねてしまう弱い心
 「ヒトラー ~最期の12日間~ 」を観た。ドイツ帝国晩年にヒトラーの秘書になった女性の伝記をもとに、映画化された実話だ。伝記は読んでいないが、地下壕にこもったヒトラーが、女性や身内には紳士のようにふるまっていたのは、驚きだ。その反面部下が命令に従わないときには、烈火のごとく怒りを口から火を噴くごとくあふれさせる。その狂気には、部下達はすくみあがってしまい、口当たりの良い情報だけしかヒトラーの耳には入らない。
 敗戦を目前にヒトラーは、夫人とともに自殺。遺言によって首相となったのはヨーゼフ・ゲッペルスだ。彼は夫人のマグダと、6人の子どもを連れて地下壕にこもる。しかし子どもを青酸カリで毒殺し、自分たちも自殺する。この映画ではヒトラーに殉じたものが多々でてくる。敗戦も決定した直後にも自殺者は後を絶たない。その中で、自殺を思いとどまるように説得を続ける軍医と親衛隊員との間で、このような会話がある。
 「もうすぐ敗戦なのに、なぜ死ぬんだ?」
 「それじゃぁ、聞き返すが、なんのために生き残るんだ?」
絶句する軍医。死ぬことに意味がないと言うが
 「私は、総統と自決することを約束したんだ。」
と聞く耳を持たない。
 自分が何をなすべきかは、すべて独裁者が決定してくれる、その心地よさは私にはわからない。ただし、居場所を無くした人間が、ヒーローから優しくされ、存在価値を認めてくれる。そういう環境下では、人間は自然と自身を相手に委ねてしまうのだろう。
 心の弱さを提示され、観るのがつらかった。しかし、実在した秘書の目を通してみた、実話だと思うと、しっかりと観ておかねば、と言い聞かせて観た。特典映像でキャストのインタビューも収録されている。いずれのキャストも演じるのが大変だったようだ。それだけ重厚な意味のある映画だった。
by namuko06 | 2006-04-29 15:46 | 映画/ドラマ
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