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ふと思いついたこと
by namuko06
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フランダースの犬
世界名作劇場「フランダースの犬」(竹書房文庫)読了。ラメー原作のものではなく、1975年にテレビ放送されたアニメのノベライズ版だ。「雨鱒の川」では貧乏な少年が絵ばかり描いていて、お金持ちの酒蔵の少女との初恋をテーマに描かれるのに対して、「フランダースの犬」も貧乏な少年ネロと祖父、パトラッシュという犬、そして地主の娘アロアとのつながりをとおして村社会の過酷さを描いており、両者とも似たような話である。「フランダースの犬」はネロの才能、ネロを中心とした子ども達のコミュニケーション・ネットワークへの大人の無関心さ(というか無知さ)が如実に描かれており、物語では描かれていないが、ネロの死後、如何に大人や友人達が嘆いたかが想像できる(想像させる)展開となっている。「雨鱒の川」は悲劇ではなく、初恋を貫き通した純真の物語であるが、「フランダースの犬」はこのように、後悔の物語である。
 このアニメが放映された年は僕は中学生であった。美術部に所属して、毎日放課後は美術室や、屋外で絵を描き、家に帰ると、2〜3時間ピアノの練習をしていた。絵を描くのが好きなのに描くことが出来ないネロにいたく同情し、最終回には号泣した記憶がある。
 1975年は、ベトナム戦争が終結し、欽ちゃんのテレビに爆笑し、「大草原の小さな家」を見て、アメリカの開拓史時代の家族の苦労を知り、「俺たちの旅」を見て、髪の毛をのばしてあんな青年になるんだ、と親友とかたりあった時期でもあった。平和が訪れ、何不自由なく生きていける自分たちとあまりにかけはなれたネロの人世に理不尽さを感じ、世の中を見る目が一つではいけないことも悟らされた。そんな「フランダースの犬」は僕が生きていく上でのバイブルでもある。
 ちなみに、この文庫本にはアニメの主題歌のCDが添付されている。懐かしい歌声に、おもわず目頭が潤んでしまった。
by namuko06 | 2004-12-06 11:35 | 読書
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