義父の逝去で、忙しい日々を過ごしていた。やっと落ち着いて読書。福井晴敏「亡国のイージス」、小山内美江子「さようなら私の金八先生」、熊谷達也「荒蝦夷」読了。その間に岩波書店の月刊誌「科学」3、4月号のアインシュタイン特集も読む。
「亡国のイージス」は登場する人物が活き活きとしていて、これは福井氏の筆力が上等であることにほかならない。膨大な文書量だが、あっというまに物語の中に引き込まれ、読み上げてしまった。しかも、読み終わった後の余韻というか、考えさせられるポイントがたくさんあり、しばらくは物語の中からぬけだせなかった。映画が楽しみだ。
「さようなら私の金八先生」は、(やっぱりね...)と感じさせられた内容だった。現在放映中の第7シリーズの消化不良的な内容に不満を持っていたが、小山内氏の気持ちは十分伝わってきた。
「荒蝦夷」だが、物語としては面白いのだが、人物像や蝦夷の風土がまったく伝わってこない小説だった。難しい時代・地域風土であるのはわかっているが、作者自身のビジョンがまだ十分に確立されていないまま小説を書いてしまったように思える。今後の研究に期待する。