またまた、日記をさぼってしまった。このGWをはさんだ2週間ほども、忙しい毎日だったような気がする。妻が駐車場の入り口で停止していたところに、つっこまれて愛車の側面に傷ができたり、子供の問題教師に振り回されたり、と自分自身ではコントロールできない問題ばかりだ。問題教師の話は、後日詳しく書くことになるだろう。
さて、今日のお題は、「隠し剣 鬼の爪」である。山田洋次監督の時代劇映画第2弾。永瀬正敏と松田たか子が主演。この映画を見て驚いたのが、永瀬さんの声の良さだ。主人公の片桐宗蔵が暗殺剣を伝授された生真面目な武士であり、その主人公の人生そのものを表現する声だった。そして松たか子が演ずる「きえ」は宗蔵の母親が行儀作法一切を教え育てた農家出身の女中である。時代は幕末。30石の平侍である宗蔵よりもきえの実家の方が、はるかに立派な農家であるのが、ストーリーの最後にわかるのだが、このとき宗蔵は士分を捨て、町人になりきえと供に、蝦夷地へ旅立とうとする。このときのきえは、倍賞千恵子演ずる宗蔵の母親にそっくりに見えた。かの母親は、息子の気持ちを察し、きえを宗蔵にとって完全なる「女房」を育てていたのだ。そして終焉を迎えた武士社会から、新しい時代を作り上げるのは、一人の男ではなく、理解しあえる男と女にほかならない。
さて、宗蔵は、非道な家老を隠し剣 鬼の爪で暗殺するのだが、その場面は本当にさりげなく、すばやく、「あ、見てしまった」と思わせる場面である。押し寄せる西洋化・近代化の波や、極寒の地での生活を乗り切るためにはこのような、人知れず精進し努力した何かが男には必要であると、理解したし、男ならばかくありたし、とも感じた。