
「めだか」読了。フジテレビでミムラさんが主演したドラマのノベライズ版である。これまで何の気なしに生きてきて、会社のリストラにあい、定時制高校の教諭に再就職した主人公「めだか」が、成長していくドラマだ。テレビドラマ自体は軽い調子で作られていて、気軽に楽しめるものだった。小説版は「めだか」の一人称で綴られており、折々の彼女の心の動きなどがつぶさにわかる。そのことで、ドラマ以上にウェットな感覚だ。
天職という言葉がある。世界中の何人の人が自分の仕事を天職だとはっきり言えるのだろうか?「めだか」は教諭になって、不慣れな人間関係を自身の素直さ(率直さ)や、倫理観を必死になって貫き通すことで、再構築していく。その姿に周囲は心を動かされて、なんらかの行動となっていき、最後には「めだか」へのフィードバックがある。「世界を動かすには、まず自らを変える」という言葉もあるように、それを実践できる機会と職を得たことは、「めだか」にとって天職を得たに等しいのかもしれない。
世の中、ドラマのようには進むことは少ないかも知れないが、生徒達が「めだか」のやり方に援護するセリフ「やり方は間違っているかも知れないけれど、めだか先生は行動してくれた」は、重要な鍵だ。正しいやり方なんて、誰もが知っていることではない、それを恐れず、まず行動することが、自分の職を天職と呼べるかどうかの分かれ道になる。